前号では40年以上前のねじ計数機の基板に汎用ロジックICが実装されていることを紹介しました。汎用ロジックICはデジタル信号を扱う基本的な論理演算機能(AND、OR、NOT、NAND、NOR、ExOR等)を一つのICにした半導体部品で、論理演算機能以外にフリップフロップ(データ保持)やアナログ信号を処理するアナログスイッチ等があります。ロジックICは使用総数は減っているものの、現在でもデジタル機器に使われています。
それでは、一例としてAND回路について説明します。ロジックICのシリーズでAND回路を持つものに74HC08(図2)という型式のものがあります。これは2入力のAND回路(図3)が4個入ったICです。
図2 汎用ロジックIC 74HC08(CMOS)※3 |
図3 AND回路(※4) |
AND回路は入力A、Bそれぞれの値(0か1)に対して、出力OUTが表4のような値をとる回路です。すなわち、入力A及び入力Bが両方共に1のときのみ出力OUT=1となり、それ以外は0となります。
入力 | 出力 | |
A | B | OUT |
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 0 |
1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 |
AND回路を図4のようにスイッチA、Bと電球で考えてみます。図4において、スイッチA、Bが両方共オフ(a)のときや片方のみオン(b,c)のときには電球は点灯しません(OUT=0)が、両方のスイッチがオン(d)すると電球は点灯(OUT=1)します。以上がAND回路です。
ちなみに、値「0」と「1」が何ボルトになるかは、回路の電源電圧やロジックICのシリーズによって異なります。簡単に言うなら、ICのスペックに記載されている、しきい値電圧よりも低いときには「0」で、高いときには「1」となります。
図4 AND回路の考え方 |
※3 ICを動作するためには電源電圧が必要で、VCCは電源電圧の+側に、GNDは-側にそれぞれ接続します。
※4 これはMIL論理記号といいます、実際のIC内部は半導体で構成された回路が入っています。
※5 「0」を「L」「偽」「false」、「1」を「H」「真」「true」等とそれぞれ表現することがあります。