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昔のデジタル計数機を分解する。ITへの扉(入門編) No.25

2021年11月1日カテゴリー: ITへの扉

大昔(40年以上前)にねじの個数を数えるために弊社で活躍した某I社製のデジタル式計数機が倉庫の片隅に保管されていましたが、思い切って処分するために、分別と供養?も兼ねて、分解・調査をすることにしました。
基板は4枚程度装着されていて、その中のメイン制御基板が写真9のような30cm×20cm程の基板です。この基板に実装されている部品の大部分がIC(集積回路,Integrated Circuit)と呼ばれる部品で、60個以上実装されています。写真9、10で黒い長方形の両側にゲジゲジのような足が生えた20mm×8mm程度の小さな部品がICです。

写真9 デジタル式計数機の制御基板 写真10 多数の汎用ロジックIC(写真9の拡大)

その中の一つの型番がM53200P(三菱)で、ネットで調べると、TTL(Transistor Transistor Logic)の汎用ロジックIC(7400シリーズ)互換品であることが分かりました。
今では、家電製品にIC1個分の小さなマイコン(micro computer)が搭載され、ソフトウェアで様々な制御が実現できますが、当時はマイコンが普及する以前のため、汎用ロジックICで組んだロジック(論理)回路により機器の制御を行っていました。
マイコンのソフトウェアであれば簡単に実現できる制御を、多くの汎用ロジックICを駆使した回路で制御する場合には頭を捻りながらのハードウェア設計だったと思います。
時代の流れで、汎用ロジックICは近年では活躍の場は縮小し、さらに、TTLよりも消費電力の小さなCMOS(Complementary MOS)に置き換わっています。
ところで、写真9右上の白枠で囲んだ部品は水晶振動子(写真11)で、この制御基板を動作させるための基準信号を発生する部品です。発振周波数は100.0kHzと刻印されています。今のマイコン回路と比較してかなり低速ですね。

写真11 大きな水晶振動子 写真12 電源トランス(上に乗っているのは10円玉)

余談ですが、内部に写真12のように重量のある部品(電磁鋼板と銅線の塊。2~3kg程度はあるか?)が搭載されていました。これはAC100VをACの低電圧に変換する電源トランスで、リニア方式の電源に使用するものです。近年、機器の小型化のために、従来のリニア方式からスイッチング方式の電源に置き換わっているため(ACアダプタが身近な例です)、あまり見かけなくなった部品です。