鉄道模型製作所のロゴ

安達16番C61-2の改造(6)ドライフィルムによるエッチング

2025年2月24日カテゴリー: 真鍮キット・モデル16番

AMAZONでフォトレジスト用の画像1のドライフィルムを購入しました。説明書は添付されていないので、ネットで投稿していただいているサイトを参考にしながら使って見ました。今回は真鍮板のエッチングですので、板の両面にドライフィルムを貼る必要があります。部品の外形は両側から板を溶かしていき板の真ん中あたりで貫通させると切り離せます。また、片側から板を溶かし板の真ん中あたりでエッチングをやめると凹凸の表現ができるという方式です。こうすると一回のエッチングで完了するかと思います。

キットの真鍮エッチング板はどのように製作しているのかは不明です。貫通させるときは上述の通りだと思いますが、キットの部品を見ると凹凸の深さが板の半分まで達せず浅いので方法が違うのかなと推測していますが、分かりません。また、過去にエッチングで0.1mm厚の貫通はやったことがありますが、それ以上の厚みの真鍮板や凹凸は経験がないので今回トライしてみました。

 

画像1 フォトレジスト用のドライフィルム

 

とりあえず、ドライフィルムを貼っていきます。ネットを参考にしながら、試行錯誤した結果、私が一番やり易くて、出来栄えがよいと感じたのは以下の方法です。

ドライフィルムは両側に保護用の透明フィルムが貼られていますので、ロールの内側の保護フィルムをはがしたうえで真鍮板に貼ります。真鍮板とドライシートは密着していなければなりません。気泡や水泡が入ると最終的な仕上がりに影響します。

 

〇前準備

1.真鍮板の両面の酸化膜・汚れを除去するためにスチールウールで磨きます。指紋がついて汚れるので手袋をつけて作業します。真鍮板はあまり大きいとエッチングの作業がしにくいので、私は必要最低限の100mm×100mmにしています。画像の真鍮板は市販の200mm×100mmのものを半分にカットしました。シャーリングマシンがないので古い紙用の裁断機(押切)を使いました。切口が若干折れ曲がりますが、端っこまで部品を配置しないので、問題ないかなと思います。

 

画像2 真鍮板の表面の酸化膜・汚れの除去

 

〇ドライフィルムの貼り付けます。作業環境は真っ暗では作業できないので、ある程度暗い場所で行います。ネットによるとLED照明を作業机から離れたところに置いて作業するくらいはよいようです。

1.真鍮板表面に画像3のように園芸用のスプレーで水を霧吹きします。

 

画像3 真鍮板表面に霧吹き

 

2.画像4のようにドライフィルムを真鍮板よりも片側5mmくらい大き目にカッターナイフでカットします。今回は真鍮板100mm×100mmを使用しましたので、110mm×110mmくらい。フィルムは紙管に巻いているので、カットすると丸まってしまい、扱いにくいです。

 

画像4 ドライフィルムのカット

 

3.画像4のようにカットして丸まったフィルムの内側の角にセロハンテープを貼り、カッタナイフの先のようなもので、内側の保護フィルムの角をこの後の作業がし易いくらいまではがします。

 

4.霧を吹きつけた真鍮板の上に、画像5のように板の端から保護フィルムをはがしながら気泡が入らないように注意してドライフィルムを載せていきます。このとき水泡が入っても後の作業で追い出すので、問題はありません。真鍮板の上には水があるので、ドライフィルムが張り付かず、位置を調整することができます。

画像5の左側のフィルムはロール内側の保護用フィルムです。保護用フィルムは表裏両面にありますが、両者の透明度に差があるようで、画像5のロール内側の保護フィルムは透明度が低いものです。ロール外側の保護フィルムは透明度が高いものです。

 

画像5 真鍮板にドライフィルムをのせる

 

5.画像5のような樹脂製のへらで真鍮板の中心から端に向かって、水泡を追い出す感じでドライフィルムの上を最初は軽くこすっていきます。きつくこすったり金属製のへらを使うと保護フィルムが伸びてしわになり、きれいに貼れなくなります。また、最初からきつくこするとドライフィルムと真鍮板が癒着してしまい、水泡が追い出せなくなります。何回かトライするとコツをつかめると思います。画像5のへらは表面に比較的凹凸がある面と滑らかな面があるので、滑らかな面を使います。

遠くのLED蛍光灯の光に板の表面を当てながら水泡の状態を確認しつつ、根気よく作業を繰り返します。どうしても水泡が追い出せなくなったときは、最終の手段として、針先でその部分の保護フィルムに小さな穴をあけ、再度へらでこすると水泡がなくなるかと思います。

6.真鍮板の両面に上記5の作業を行います。真鍮板からはみ出したドライフィルムをカッタナイフでカットします。画像6がこれまでの作業でドライフィルムを貼り終えた状態です。

 

画像6 ドライフィルムを真鍮板両面に貼り終えた状態

 

7.ラミネータ(画像7)を使ってドライフィルムを真鍮板に定着させます。このときラミネータの温度はこの機種では最低温の1に設定しました。

 

画像7 使用したラミネータ

 

画像8のようにA4のコピー用紙を二つ折りにし、画像6の真鍮板を挟んで、ラミネータに通します(画像9)。コピー用紙で挟まないと温度が高すぎるのか、局所的に熱が集中するのかわかりませんが、保護フィルムが部分的に溶けてレジスト表面が荒れてしまい、エッチングに支障が出る可能性があります。また、ラミネータのローラーにレジストが付着し損傷を与えますので要注意です。

 

画像8 真鍮板をA4のコピー用紙で挟んでラミネートする

 

 

画像9 真鍮板をラミネータに通す

 

貼り付けたドライフィルム表面を観察して、異物・気泡・水泡等の異常個所がないかを確認します。もしあった場合は、少量であれば露光の時にその部位にエッチング部品が重ならないように配置できるようならそれで対処します。たくさんあった場合は部品不良となるのを覚悟して次の工程にすすむか、再度ドライフィルムをはがして、最初からやり直すしかありません。ドライフィルムをはがすときは、エタノールにつけておくとはがれます。無水エタノールは価格が高いので、私は消毒用エタノールを代用して使っています。

露光の前後でエタノールに漬けたときのレジストの挙動が異なります。露光する前にエタノールに漬けるとレジストが溶けてエタノールが青くなります。露光後はレジストがしわになり剥がれ落ちてきます。

購入したドライフィルムは5mほどあるようなので、私の場合はおそらく使用期限内で使い切ることができないため練習・試行錯誤をかねて何回もトライをして、一番安定して仕上がるのが上記の方法でしたのでご紹介しました。上記の方法に限らず自分で試してみたらよいかと思います。

ちなみに上記で使用したエタノール等の廃棄物は私の場合は、排水に流すのはよくないと思い、紙にしみこませて乾かしたあとに、燃えるゴミで廃棄しました。

上記作業は自己責任でお願いします。作業時のトラブル・機器の損傷等の責任は当方では責任を負うことができません。あらかじめご了承ください。