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昔の電卓と現在の電卓の中身を比較する。ITへの扉(入門編) No.31

2022年6月1日カテゴリー: ITへの扉

写真10の左側は社内にあった1980年頃の当時最新式の電卓COMPET CS-1109D(SHARP)で、右側は現在のSHARP製電卓です。昔に比べると小型・薄型化し、価格はかなり低価格になりました。

写真10 左:電子式卓上計算機COMPET CS-1109D
右:ELSI MATE EL-N432いずれもSHARP製

中身が気になりケースをあけてみました。写真11がCS-1109Dの内部基板です。部品の少なさに驚きました。基板の下半分程度がキーボードのスペースで、右上の方に電卓専用LSI(※3)(大規模集積回路、半導体)が実装されています。

写真11 CS-1109D内部の基板

一方、EL-N432の基板が、写真12です。基板の上の方に直径10mm程度の黒マル状のCOB(Chip On Board)のLSI(※3)が実装されています。これは、写真11のようにパッケージ化されたLSIではなく、いわば半製品のLSI(半導体チップ)を基板に実装、配線し、樹脂でコーティングしたもので、これにより、省スペース・薄型化が実現できます。

写真12 EL-N432内部の基板

このように、電卓の基本構成(LSI・キーボード・表示器)は今も昔もあまり変わっていないようです。この40年間で大きく変わったのは、部品の性能アップや実装技術の向上で小型化・低価格化が実現できていることだと思われます。
ちなみに、CS-1109Dの電源供給は単2乾電池4本か、AC100Vということで、結構消費電力が大きそうですが、EL-N432は回路の省エネ化によって、ボタン電池と太陽電池の併用だけで動作しますので、これも大きな技術の進歩といえます。

※3 筆者の推測です。