デジタルの教科書では、値(2進数)を「0」と「1」で表現しますが、実際の回路では、「0」と「1」のそれぞれに対して電圧が割り当てられます。通常は回路に供給する電源電圧により決まり、例えば、電源電圧が5Vのときには、図5のように「0」は0Vで、「1」は5Vとなります。 しかしながら、「0」、「1」がそれぞれピッタリと0V、5Vである必要はありません。デジタルICでは図6のように「しきい値(スレッショルド,threshold)」というものが決められていて、デジタル入力信号の電圧が「Hのしきい値」電圧よりも高いときに「1」、「Lのしきい値」電圧よりも低いときに「0」と判断します。
図5 デジタル信号のアナログ値 |
図6 デジタル信号に重畳したノイズとしきい値(※1) |
従って、デジタル信号にノイズ(不要な信号)が重畳して、値が多少変動したとしても、このしきい値を超えない限り、正確に「0」「1」を判断できるため、デジタルがノイズに強いと言われる理由の一つとなります。
一方、アナログ信号の場合には図7(a)のような正常な信号に、(b)のようにノイズが重畳したときに、(b)の信号からノイズ成分を除去して(a)の信号を忠実に再現することは困難です。
図7 アナログ信号に重畳したノイズ |
2011年頃までのアナログテレビ放送はゴースト(※2)等によるノイズの影響で、画像が劣化しがちでした。現在の鮮明な画像のデジタルテレビ放送を見るとデジタルのメリットがよく分かる一例ですね。
※1 入力信号が網目の部分を通過することはできますが、とどまることはできません。
※2 建物等の反射により、時間遅れの電波が正常な電波に重畳し、画像がずれて見える現象。