昨今、IT(Information Technology)とか、IOT(Internet of Things)とかいう用語が当たり前のように使われています。いずれも、ソフトウェアの技術だけでなく、ハードウェアの技術も重要な役割を担っています。
ところで、私が不定期ではありますが愛読している、主にハードウェアに関するエレクトロニクス技術情報紙「トランジスタ技術」(CQ出版社)が2023年1月で創刊700号を迎え、付録で1964年創刊号の復刻版が付いていました。当時は真空管からトランジスタへの移行期であったことから、創刊号ではトランジスタの製造方法とかトランジスタ回路を紹介する記事が多く掲載されており、これからはトランジスタが時代を牽引するという思いを込めて「トランジスタ技術」というタイトルが名づけられたのではないかと想像します。
写真8 トランジスタ技術 創刊号復刻版 |
記事の中で「電子そろばんシャープ コンペットCS-10Aの紹介(※3)」がありました。これによると、CS-10Aは使用トランジスタ530本、使用ダイオード2300本、消費電力90Wという電子回路の塊のような装置だったようです。また内部の電子回路の解説等があり、興味深く読ませていただきました。表紙裏の広告では、CS-10Aを「世界的発明」と謳い、価格は535,000円、重さ約25kgだったそうです。偶然にもやまりん新聞の156号でシャープCOMPET CD-1109Dの中身を紹介していますが、LSI(集積回路)を使用して小型化(約1kg)されており、わずか10数年でエレクトロニクスが相当なスピードで発展したことが分かります。日本のエレクトロニクス産業が再びこのように発展する姿を見てみたいものですね。
※3 早川電機工業K.K産業機器事業部 斉藤賢著
早川電機工業はシャープの1つ前の社名です。