7.コントロールボックスの製作

 前回、デジトラックス社製のリバース区間用AR1を転車台の給電用に使用したとき、パワー制御基板の過電流停止機能によりDCCが出力停止してしまいました。

 もともとAR1は短絡電流を検出して、DCC出力の極性を反転していますので、従来の瞬時過電流検出回路では、AR1が極性切り替えをする前に、パワー制御基板が過電流停止してしまいます。

 そのため何らかの方法で過電流検出停止の電流値1よりも低い電流値2を検出して電流を制限する機能が必要となります。

 そこで、電流値2を検出すると、DCC出力波形をチョッピングして、電流値を制限する方法を試しましたが、うまく電流制限できませんでした。

 メーカー製のコントローラーを調査した結果、電流値によりMOS-FETのゲート電圧をコントロールしていることがわかりました。

 これを参考に今回作った基板は下の写真の中央の基板です。

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上側に3本足で4個並んでいるのがMOS-FET、その右にある小さな部品が集まった部分が電流値2を検出し、MOS-FETのゲート電圧を低下させる回路です。

 中央の四角い部品が3個並んでいますが、左2個がMOS-FETのドライブ用IC、右が電流値検出用のコンパレータ―です。今回の基板は電流値1と電流値2の検出を行っていますが、電流値2で電流制限を行っていますので、通常は電流値1(過電流停止)で停止することはありませんが念のため電流値1検出回路も装備しています。

 下の長方形の部品2個は信号処理をするロジックICです。基板上部の芋虫状の白い部品は電流検出用の抵抗です。

 この方法の短所として、MOS-FETがリニア領域で動作するため、発熱が激しく、即座に過電流を解除するか、DCC出力を停止しないとMOS-FETが破壊してしまうことです。

 幸い、AR1は数ms-20ms程度で極性を切り替えてくれるようなので、MOS-FETが破壊することはなさそうです。また線路の短絡時には0.1秒程度で強制的にDCC出力を停止してやれば問題ないようです。