2.転車台の製作

 転車台の構想がまとまってきましたので、設計と製作を同時進行で取り掛かかります。
いろいろ試行錯誤しながら作りましたので、製作途中の写真がありませんが、お許しください。

ベース盤
 円形のベース盤は白色のPOM板から旋盤で削り出しました。中心にはベアリング用のΦ17の穴をあけています。
 転車台の下の車輪が乗るレールは上記旋盤作業で削りだしましたので枕木等は省略です。ベース盤の厚みは11mmとしました。そりが心配なのと、モータ等の取り付けが必要ですので、1mm厚の鉄の円盤を裏から固定できるようにしました。

駆動装置
 モータはギヤードステッピングモータ、その軸にモジュール0.5、歯数15の真鍮製、平歯車、転車台駆動軸にはモジュール0.5、歯数120のポリアセタール製、平歯車を使用しました。
駆動軸はベース盤のベアリングともう1箇所のベアリング(下の写真の黒い樹脂の中に入っています)で支持しています。

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下の写真は転車台をジオラマのベースに下側から組み込んでねじ止めしたところです。メンテナンスのために取り外し可能としています。

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「1.転車台の設計」での写真は試作段階のものです。そのため転車台ベースの色は黒で、停止位置24か所にフォトトランジスタが設置してあります。これを見てもわかるようにフォトトランジスタの数が多いため、電線の引き回しが長くなりますので、この方式はやめました。最終的にステッピングモータによる位置制御に変更しました。
 
ゼロ点検出
 ステッピングモータの位置決めでは、転車台に予期せぬ力が掛ったときにステッピングモータが脱調し、それ以後の停止位置がずれてしまいます。再度、手動で位置の修正を行ってもよいのですが、手間が掛ると予想できますので、転車台のゼロ点のみは自動で検出できるようにしています。
 ゼロ点検出は「1.転車台の設計」で述べたように発光ダイオードからの光を、転車台のベース盤にあけた小さい穴を通してフォトトランジスタで受光して行っています。
 上の写真でいうと、転車台の中心部に黒い箱がありますが、この箱の中にフォトトランジスタが入っています。
 発光ダイオードは上の写真の黒い箱の斜め右上にある、小さいプリント基板に実装しています。
制御回路
 転車台の制御はマイクロチップのPIC18Fで行いました。下の写真は転車台の駆動用の基板です。操作スイッチ部と転車台が離れたところにある場合を考慮して、別途操作用の基板を作って、通信で両者基板を結んでいます。通信は、一度使ってみたかったので、CAN通信で行いました。
 そのためマイコンはCANデバイス内蔵のPIC18F4580(緑色の基板の中心部より少し上の部品)を使用しました。
 緑色のマイコン基板の左側の基板はステッピングモータ駆動用のMOSFETやフォトトランジスタ等のインターフェースを実装しています。
 マイコン基板自体は他の用途に作ったもので、転車台駆動用としてはオーバースペックですが、とりあえず試作ですのでこれで我慢しました。
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1.転車台の設計

転車台を作るとき、まず考えるのが
1.位置決め
2.駆動装置
3.ジオラマへの設置方法
をどうするかということではないでしょうか。

回転体の位置検出といえば...
 1.の位置決めについては、資金と設置スペースが許せばロータリーエンコーダーを使用して転車台の回転角度を検出すれば、解決できるとは思いますが、「おもちゃ」としての位置づけではちょっとレベルが高いかと思いました。(「大人のおもちゃ」と考えれば導入も可能かも知れません。)

簡易版の位置検出は?
 次に考えたのがセンサーによって位置決めを行なうことです。機械的なスイッチ等による位置検出では検出誤差が大きくなると思われますので、電気的に位置検出できればよいのではと思いました。 
 赤外発光ダイオードとフォトトランジスタの組合せで、一方をベースに取り付け、もう一方を転車台に取り付けて、細穴を介して光を検出すれば実現できそうです。しかしながら停止位置が多くなるとセンサーの数が増えてきますので、一工夫要りそうです。(下の写真で円盤の周囲に取り付けてあるのがフォトトランジスタです。)
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位置検出器なしで実現できないか?
 次に考えたのが、ステッピングモータによってあらかじめ設定したステップ数で回転停止すれば、任意の位置で転車台を止められるのではということです。
 しかしながら、バックラッシの影響で右回転、左回転の停止位置が微妙に異なる可能性は否定できません。(やってみる価値はあります。)

 大阪の日本橋の電子部品屋さんで格安のギヤードステッピングモータ(SPG20-332)が売られていましたので、それを買って試験することにしました。実際に組み込んだ状態は上の写真です(位置検出器は組み込んだままです)。

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駆動装置について
2.の駆動装置は上述のステッピングモータやDCモータがありますが、DCモータの場合は定格電圧で使用すると回転数が大きいので、減速するのにギヤを多く使用するため、モータとギヤの騒音の問題があります。また上記のステッピングモータのようにステップで駆動できないので、位置決め手段が必要になります。
その点、ステッピングモータは回転数を抑えることができるので、騒音の心配はないですが、回転時の振動の問題があります。 一長一短あるので、この辺のところは試作を行なって、改善していく必要があります。

ジオラマへの設置方法は
 転車台ばかりに時間を費やすと、ジオラマの完成がいつになるか分からないので、そこそこの完成度で妥協して、その後改良したときには転車台を取り替えることができるように、ジオラマの裏側から取り外し可能としました。