弁装置の工作(2009年7月)

第5章の1 弁装置の工作
 実際の蒸気機関車はワルシャート式弁装置というものが搭載されていますが、この模型では滑り返りクランク式弁装置を搭載しています。この弁装置は、返りクランクが前進位置と後進位置に自由に動けるようにして、機関車を手で前に押すと返りクランクが前進位置に後へ押すと後進位置に切り替わるしくみです。
 従って、結びリンク、合併テコ、逆転棒、逆転機関係のリンクはワルシャート式弁装置に似せるための飾りです。
 今回の工作は以前の連結棒や主連棒以上に細かい作業となります。あせらずに作業する必要があります。下の写真が弁装置関係の小物部品です。

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 写真上段左から、ラジアスリンク、返りクランクストッパー、滑り弁連結棒、偏心棒
写真中段左から、ラジアスリンクピボット、滑り返りクランク、飾り合併テコ、飾りツリリンク、ツリリンク腕
写真下段左から、結びリンク、クロスヘッド腕、逆転軸うけです。
 今回実際に機関車の動作に関係するものは、ラジアスリンク、返りクランクストッパー、滑り弁連結棒、偏心棒、、ラジアスリンクピボット、滑り返りクランクです。その他はワルシャート式弁装置に似せた装飾用のものです。
 今回の加工もリンク関係は連結棒と同様にフライス盤で加工しました。各パーツは小さいですから、気長に作業することが重要でしょう。

1.ラジアスリンク
 写真の下段の真ん中の2つがラジアスリンクです。厚さ1.6mmの鉄板からフライスで穴あけ、大まかな外形はエンドミル(金切のこでも十分)で、下部はやすりで手作業で行ないました。
 ラジアスリンクの横にあるのは、ラジアスリンクピボットです。先端はM2のねじ切り、頭は六角仕上げです。

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2.返りクランクストッパー、滑り返りクランク
 返りクランクストッパーは1.6mm鉄板から厚みを1.2mmに削りました。(1.2mm鉄板が入手できなかったので)。形状が複雑ですのでフライス盤にインデックステーブルを乗せて大まかな外形をエンドミルで削りました。また返りクランクの動作範囲の44度のストッパー部についてはインデックステーブルで割り出しました。
 返りクランクストッパーは第2動輪のクランクピンの四角い出っ張りに入りますので、そのための3x3mm四角穴はやすりにて手作業で仕上げます。(下穴はフライスで2.9mmであけておきます)

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 滑り返りクランクは1.6mmの鉄板を使い、アールの部分、穴はフライス盤+インデックステーブルで加工して、その後、やすりの手作業で行ないました。
 ストッパー用のピンは圧入後に銀ロー付けで固定しました。下の写真が完成品です。銀ロー付けの部分の色が変わっているのが分かります。
 ストッパーは写真の上段です。ストッパー上部のU字型の部分をクランクのピンが移動することになります。

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3.滑り弁連結棒、偏心棒
 滑り弁連結棒は弁心棒に取り付けるためのU字型の部分があり、設計図ではロー付けの指示がありましたが、この時点でロー付けに慣れていなかったので、フライスで一体加工することにしました。
 材料は鉄の棒材で、これをエンドミルで下の写真のようにくりぬいていきました。

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 完成したのが下の写真です。左が滑り弁連結棒、右が偏心棒です。

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4.その他装飾用のリンク
 下の写真は完成品です。

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5.下の写真は組立てた状態のものです。(装飾用リンクは除く)

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